福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.139(H15/2003.7) -031/036page
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「ふくしまの郷土資料」Webサイトを活用した地域学習の実践的研究
天栄村立湯元小学校 教諭 馬 場 秀 之
(平成14年度長期研究員)(Eメール)hidebaba@abu.ne.jpT はじめに
長期研究員としての過去3年間を振り返ると、一年目はインターネッ卜上の教育コンテンツのあり方についての研究、2年目はイントラネット用ソフトウェア「なわとびネットワーク」の研究開発(1)、そして3年目は地域学習Webについての研究に取り組んできた。一見共通性がないように思えるが、コンピュータネットワークの最大の特性である「情報の共有化」を活用し、その教育利用の研究に取り組んできた点では一貫性を持っている。
コンピュータネットワークにおける「情報の共有化」は、インターネットの出現と共に爆発的に普及しつつある。教育情報も例外ではなく、ブラウザでNASAの最新天体映像を気軽に閲覧できるようになっただけでも、その教育的効果は計り知れないものがある。しかし、それは世界的・日本的なレベルの話で、県市町村レベルとなるとまだ少ないのが現状である。印刷物による情報提供は従来通り存在するが、そのデジタル共有化は遅れていると言わざるを得ない。
地域学習は理科、社会科をはじめ、総合的な学習の時間における取り扱いも大きなものがある。しかし、地域情報の発信源となるべき学校や各種文化施設のWeb情報は、大人向けのものが多く、授業では活用しにくい状況にある*1。さらに教師自身による教育用Webが未だに少ないことは憂慮すべきである。これらの原因については、本稿の内容から逸脱するために触れないが、学校、文化施設及び教師が、その専門性を生かして児童生徒向けのWebを提供すれば、様々な課題解決学習に役立ち、情報活用能力の向上へと繋がることは自明である。そして、福島県における「教育の情報化」は一気に進むと思われる。
そこで平成14年度の研究では、地域の様々な教育資料を共有化する場として、福島県域の地域学習Webを開設し、地域素材のデジタル教材化とその共有化を目指した。
コンテンツ的にはまだまだ物足りないが、「地域学習」の拠点の一つとなれば幸いである。別稿(2)において研究の詳細は触れたため、以下本稿では、実践授業の様子を中心に述べていく。
*1このような中で、FKS(http://www.fks.ed.jp/)と、通称"まほろん"(http://www.mahoron.fks.ed.jp/)のWebサイ卜は貴重な存在である。