(3)論証の考え方が十分には理解されていないために,記述ができない。
三角形の合同を使った証明のようにパターン化されたものの記述はできるようになるが,それ以外の形式の証明になると,どのような順序で,書いてよいのかに戸惑う。考えの進め方が十分に理解されていないためと考えられる。
3 つまずきへの対策
(1)文章を文字や式で言い換える練習をさせる。
(例)1)辺ABの長さと辺CDの長さは等しい。(AB=CD)
2)∠Aの人きさは∠Bの人きさの半分である。(∠A=1/2∠B)
3)∠ABDは∠ABCと∠CBDを加えた角である。(∠ABD=∠ABC+∠CBD)
4)三角形の3つの内角a°,b°,c°の和は180°である。(a+b+c=180)
5)△ABCにおいて∠Cの外角∠xを∠Aと∠Bで表す。(∠x=180°-(∠A+∠B)) |
(2)与えられた条件にあった図を正しくかく習慣化を図る。
(例)AD//BCの台形ABCDで,EはCDの中点、FはAEとBCの延長線の交点である。このとき,次の手順でAD=FCであることを,証明しなさい。
1)文章にしたがって,図をかきなさい。
2)仮定から,等しくなっている角や辺に同じ印をつけなさい。
3)結論はAD=FCです。作図したADとFDの長さを測って,等しくなることを確かめなさい。
4)AD=FCとなることを証明しなさい。 |
(3)口頭で発表した証明を順序立てて記述させ,考えの進め方や書き方を理解させる。
結論から仮定へと条件を逆にたどって,考える習慣をつけさせる。
(例)図において,OA=OB,AC//DBであるとき,△OAC≡△OBDとなることを証明しなさい。
口頭で発表させる
↓
メモ的に記述させる
↓
簡潔に整った形式で記述させる。
AO=BO
∠A=∠B
∠AOC=∠BOD
△OAC≡△OBD
△OACと△OBDにおいて
AO=BO(仮定)
∠A=∠B(平行線の錯角)
∠AOC=∠BOD(対頂角)
1辺とその両端の角が等しいので,△OAC≡△OBD