教育福島0072号(1982年(S57)07月)-031page

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を考えたらもっと自分自身を大切にしなくてはと女の人に私も含めて注意したい」

以上は、何人かの生徒の言葉であるが、多くの生徒は今まで気付かなかった、また知らなかった性行動の男女における動機の違い、日米仏の女子の自己主張の相違点や、誤解していた性に対する価値観などについて考え、そして理解してくれたようである。

(七) 実施後の問題点

・スライドでは「女子の性心理」を利用したが「男子の性心理」の併用を工夫すべきであった。

・男女共学のホームルームでは教材の選択や活動形態に留意すべきである。

・スライドのテンポが速く、深層心理にせまることが困難な生徒もある。

・まとめは、男女に討論させた方が性心理の理解に効果的だったかもしれない。

(授業者 現矢吹高校教諭 山崎浩三)

 

三 倫理社会における指導

 

(一) 本時の主題「愛情による人間関係」

(二) 本時のねらい

自分にとって愛とは何かを考えさせ愛がどんな意味をもち、何が愛であり愛がいかなる行為を導くかを考えさせる。

(三) 本時の指導過程(表2)

 

表2. 指導過程

表2. 指導過程

 

(四) 生徒の反応

1)授業の感想 2)授業のなかで知りたい一「愛」について一についてアンケートをとってみた。その代表的なものは次のとおりである。

1)授業の感想

・「一般的なことばかり。先生の経験や失敗談の方がためになる」

・「よくわからないことが多かった」

・「ためになるので、もっと話してほしい」

・「性の話をする時、先生が赤い顔をしたのを覚えている。てれるな。」

・「週刊誌やテレビ、友達との話の方がおもしろい」

2)授業の中で知りたい「愛」について

・「男女の性心理や意識のちがいについて」

・「先生の高校時代に考えていたことを話してほしい」

・「異性との交際のしかた」

・「先生の一方的な意見でなく、生徒との話し合いで友情や恋愛について考えてみたかった」

・「性と愛について同年代の高校生がどんな考え方をしているのか?」

・「恋愛論に関して、他の資料にはどんなものがあるのでしょうか」などの感想や意見が多くみられた。

(五) 反省と今後の課題

1) 講義中心になっていた。

生徒の感想にも、生徒同志の話し合い形式をのぞむものもあり配慮してもよかった。

2) 資料作成の必要性

遠藤周作、吉行淳之介、スタンダールなどの「恋愛論」を引用したが、話をするだけでなく、適当な資料を作成して活用すると効果的である。

3) 愛の諸相について短い時間で理解させることは難かしいことである。結論を急がないで、生徒の日常生活の場面で考える素材を与える態度がほしいと思う。

4) 他の教科との関連をはかるようにしたい。

(授業者 棚倉高校教諭 宗田愛一郎)

 

四 おわりに

 

私たちは、学校教育活動の中で、先ず自分の担当領域でできることから取り組むことにした。それぞれの実践計画を出し合って全体の指導計画を検討し、さらに、生徒の実態についても調査分析を試みた。その計画の作成や実践の研修会を通じて、他の領域での指導のねらいや内容について具体的にお互いに理解できたことは、次の実践への足がかりとなったという意味で大きな成果であった。今後は、これらの教訓を生かして、各領域の実践をより組織的、総合的なものとするための共同作業も必要であり、今後も継続して、性教育にかかわる問題の解決と実践に努力してゆく。

(代表 小林暢夫)

 

 

 


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