教師のための統計入門-018/233page
P2 先生,それなら,そのずれを2乗したらどうですか。
T うん,2乗ずれば確かにマイナスのずれはプラスになるけれども。それから。
P2 ずれの2乗の総和を作り,その平均を考えればどうでしょうか。
T なるほど,これはうまいなあ。グッドアイデアだぞ。それでは,さっそくこれを式に書いてみよう。一しょに……。
1/3 { (X1−-X)2+(X2−-X)2+(X3−-X)2}
うん,こうだね。統計学では,これを分散といって,記号では S2 またはσ2(シグマ)を用います。前に偏差の総和を,大文字の S で表しましたから,まぎらわしくないように,ここではσ2を用いることにしますと,
σ2=1/3 { (X1-X)2+(2-X)2+(X3−-X)2}
と表せるわけです。分散は,データの各値が,等しくばらつきの情報を提供している点で,範囲より優れています。統計学では,ばらつきの度合いを示すものとして,この分散がよく使われます。よく考えたね。えらいぞ。
P うふふ。
T ところで,この分散だけれども,この式の ( )2 の一つ一つは図形的にいったら何を表すんだろう。
P3 それは,ずれを一辺とする正方形の面積です。
T そうすると,σ2=; ずれの2乗の総和の平均,というのは,図形的にはどうなる。
P3 各々のずれを一辺とする正方形の面積の総和の平均……。
T つまり,どういうことだい。
P3 つまり,えーと,1人当たりのずれの正方形の面積,といってもよいと思います。
T そのとおりだね。ところで,われわれは,平均値のまわりのばらつきの度合いを表すものとして,平均値からの1人当たりのずれの大きさ,平均値からの1人当たりの距離,を問題にしてきたのだから,1人当たりのずれの正方形の面積ではなくて,本当はその正方形の