教師のための統計入門-019/233page
一辺の長さが知りたいのだ。どうしたらいいだろう。
P4 先生,それは簡単です。分散の平方根をとればよいでしょう。
T そうだ,うまいね。それを式に表してみよう。
このσを標準偏差といって,平均値のまわりのばらつきの度合いを示すものとして,統計学では,最もよく用いられます。A組,B組の場合は,データの数がこれよりも多いので,上の式の中かっこ { } の中の ( )2 の項が多くなりますが,その内容は全く同じものです。あとで,実際に計算してもらいますが,A組とB組とでは,どちらの標準偏差が大で,どちらの標準偏差が小とでるだろう。
P5 それは,A組の方が大で,B組の方が小になると思います。
T うん,そうだね。標準偏差の値は,データが,平均値のまわりに集中しているほど小さくなり,これと反対に,平均値のまわりに大きくばらついているほど大きくなります。標準偏差は,まず,ずれを一辺とする正方形の面積の総和を平均していますから,特別なずば抜けた値の影響は範囲ほど大きくはありません。しかし,特別な,ずば抜けた値がある場合には,やはり十分検討してから標準偏差を求めるべきです。なお,データの分布の状態を説明するときには,ふつう,平均値はいくらで,標準偏差はいくら,というように書いておきます。そうしますと,表や図がなくても,あとで勉強するチェビシェフの定理などの助けを借りて,ある程度くわしくデータの様子がつかめるからです。標準偏差は,平均値とともに,データの要約値として,データの特徴を示す大切な値です。
P1 先生,先ほど,ばらつきの度合いを表すものとして,分散がよく用いられる,といわれたんですが,分散の単位は,データの単位の2乗で,データの単位と同じでないのに,なぜ用いられるのですか。標準偏差は,分散の平方根ですから,データの単位と同じ単位ですから,これが用いられるのは良くわかりますが。