教師のための統計入門-120/233page
1回目に×は(c+d)人,2回目に×は(b+d)人ですから,その差は,(c+d)-(b+d)=(c-b)(人)です。
要するに,bとcとの差がこの変化を示す手がかりになることは確かです。
さて,(1回目,2回目)の順で,(○,○),(×,×)のa人,d人は,○,×に変化のない生徒の数ですから,これからは何の情報も得られません。これに対して,(○,×),(×,○)のb人,c人は,○,×に変化のあった生徒の数ですから,これらは変化を示す一つの手がかりになります。
もしも,一定期間の時間の経過が,生徒の○,×を無作為に変化させるものとすれば,(b+c)人中,理論的には,(b+c)2人は○に,(b+c)/2人は×になると考えられます。
したがって,この(b+c)/2が理論度数に当りますから,
∴ X2 =(b−c)2/(b+c),自由度は1 これが,1回目,2回目の変化の程度を示す X2 の式で,この式の分子には,1回目と2回目の○や×の差を示す式(b-c)(の2乗)が表れています。
なお、この場合の自由度は1です。
さて,この式を用いて,(例23)の検定をしてみましょう。
1. 仮説 H0 :「1回目と2回目の○,×に変化はない」
対立仮説:「1回目と2回目の○,×に変化がある」
2. X2 =(b−c)2/(b+b)=(27−8)2/(27+8)=10.3
3. 危険率は5%,自由度は1 ∴ X2 (1,0.05)=3.84