教師のための統計入門-171/233page

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問23 不偏分散とは何ですか。

(答え) 大きさが N の母集団から任意抽出した大きさ n の標本; a1, a2, a3,……,an において,標本平均を -x, 標本分散を s2 としますと,

問23の答え

となり,これは, n が大のとき母分散σ2 の推定値として用いられます。

しかし,大きさが N の母集団から,大きさが n のあらゆる標本を抽出して,この標本分散たちの平均値を求めますと,それは母分散σ2 に一致しないのです。

ところが,標本分散 s2 ではなく,

問23の答え

をつくって,この s'2 たちの平均値を求めますと,それは,母分散σ2 に一致することがわかります。(証明は最後に述べてあります。)

このように,あらゆる標本から得られたある値θ'たちの平均値が,母集団のある値θに一致するとき,この'θをθの不偏(かたよりのない)推定量といい,その実現値を不偏推定値といいます。(問22での標本平均は,母平均の不偏推定量になっています。)

この場合, s'2 は母分散σ2 の不偏推定量であり,これを不偏分散といいます。s2 は不偏分散ではありません。ですから,母分散の推定値としては,標本分散 s2 よりは,不偏分散 s'2 の方が良いとされます。

n が大のときは, s2 でも s'2 でもそう大したちがいはありませんから,どちらでもかまわないのですが, n が小のときは,この不偏分散 s'2 が,母分散σ2 の推定値として用いられます。

標準偏差のだせる電卓に,σn-1のキーのついているものがありますが,これは,不偏分散の平方根を表しており, n が小のときは,標本標準偏差σn を用いるよりは,この不偏分散の平方根σn-1 を用いる方が適当であるとして,用いられることがあります。

それでは,次に証明を述べますが,ここで用いる記号は,すべて前問と同じ


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