理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-016/139page
3.エネルギーの移り変わり(地磁気を測定に利用した実験)
1 ねらい
力学的な振動のエネルギーが他の物体の振動のエネルギーに移動・変換される様子は,生徒にとって驚きであり,興味と探究心が呼びおこされる。
生徒達は「一方の振り子のネルギーが他方に移り,両振子の振巾が等しくなったら同じ振動になるのではないか」とか,「なぜ交互に振巾が変化するのか」「振子をつるしている糸はどんなはたらきをしているのか」などの問題を提起する。
このような発想や疑問を,実験と思考のサイクルをとおして種々の角度から検討させたい。
2 準備
○ボルダの振子 2個, ○細いエナメル線, ○ICμ A741使用直流増巾器 2組(材料費700円以下) ○理振直流安定化電源, ○2ペンレコーダー(1ペンでも可)又は2現象シンクロスコープ(残光)
3 方法
(1)〔図1〕のように糸を地磁気方向(南北)に水平に張る。
(2)糸にボルダの振子 A,B を 30cm 程度離して吊るす。振子の長さは変えられるようにする。
(3)細いエナメル線をボルダの振子をつるした糸に沿わせ,更に振動の抵抗にならぬよう少したるませて下部に固定し,一端と他端をそれぞれ μA741 の入力端子に接続する。
(4)μA741 の出力端子をペンレコーダー又はシンクロスコープに接続し,振子の振動によりサインカーブが描けるよう調整する。このときの地磁気による起電力は V=−B・ds/dt で表されることをあらかじめ指導する必要があるが,Voc v (おもりの速さ)程度でもよい。〔図2〕
(5)一方の振子を振動させ,他方の振子が共振するよう振子の長さを種々変えて実験させる。
(6)振動の周期,振動するときの位相の比較ができるようデータをとる。(2ペンレコーダが必要)
(7)一方の振子のエナメル線の下方と,他方の振子の上方のエナメル線を直列にし,振動をペンレコーダー又はシンクロスコープで観測しデータを得る。(電圧加算)
(8)一方の振子の長さを変え,同様の実験をする。
(9)(6)に同じ
(10)一方の振子にダンパー(厚紙を運動方向垂直に固定する)をつけ振動が減衰するようにして実験する。
(11)(6)に同じ
(12)〔図3〕のように棒に振子をつるして実験をする。この場合支え棒に垂直に振動させたり,平行に振動させたりして調べる。
(13)釣り糸の途中に糸をつけ,2振子をつないでみる。つなぐ位置,つなぎ糸の張力を変えて実験する。〔図4〕
図1