研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 032/082page
は考えたことがあるでしょう。
むかしから,さまざまな人が,うでにつばさのようなものをくくりつけ,それを上下にふって空をとぼうとしました。けれども,そういうやりかたではうまく空をとぶことができませんでした。人間の体は,鳥の体とちがって,空をとぶのにつごうのいいしくみになっていないからです。
さし絵 それでは,鳥の体は,どんなしくみになっているのでしょうか。
まず,鳥の体は,その大きさにくらべて,たいへん軽くできています。鳥のはねの軽いのはもちろんですが,ほねも,ほかの動物のほねよりずっと軽いのです。鳥のほねは,中が空っぽになってているからです。また,鳥は,空をとびながらでも,ふんをしますが,これも,少しでも体を軽くするために,ふんをためておかないしくみになっているからです。
次は,鳥のつぱさのしくみがおどろくほどうまくできていることです。鳥のつばさを上下に動かしてまい上がります。まい上がることができるのは,上から下につばさを動かすとき,空気を下へおすからです。では,反対に,つばさを下から上に上げるときには,どうなるでしょう。鳥のつばさは,上に上げるときだけ,はねとはねとの間にすきまができて,空気が通りぬけるようになっています。ですから,ほとんど空気におされずに,楽に,つばさを上に上げることができるのです。
さし絵 上の文章をよく読んで,問だいに答えなさい。
問1.5行めの「それ」は,何をさしていますか。
( )
問2 6行めの「けれども」ということばは,どんなとき,つかいますか。よいものに○をつけなさい。
1.前の文のことがらをさらにくわしくのべるとき。
2.前の文のことがらとはんたいのことをのべるとき。
3.前の文のことがらをいいかえる。
4.前の文でのべたこと,理由(わけ)をのべるとき。問3 人間が「つばさのようなものをくくりつけ」てでは,空をとべないわけの書いてある文に―線をひきなさい。
問4 だんらくで,中心となる大事な文に―線をひきなさい。
だんらくに,だいをつけるとすれば,どんなだいが,よいでしょうか。( )
さいごは,つばさを動かす力の強いことです。
鳥でも人間でも,体を動かすときには,きん肉を使います。鳥がつばさを動かすためにきん肉は,体全体の重さの6分の1以上もあります。
かりに,鳥と人間の,体の大きさと重さを同じくらいだと考えてみましょう。すると,鳥のつばさを動かす力は,人間が自分のうでを動かす力の10ばい以上になります。このように,鳥の体は,空をとぶのにつごうのいいしくみになっています。鳥とちがう体のしくみをもった人間が,はばたいて空をとぶことのできないのは,あたりまえです。
さし絵