研究紀要第79号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第3年次」 -043/135page

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(3)基礎的・基本的な内容の定着を図る
   指導の手だて
 本題材で定着を図ろうとする指導内容を精選し,それらの内容を各段階で定着させるための手だてとして,「学習の手引」,「鑑賞教材」,「表現の手引」,「ひらめきカード」を活用した。
 これらの手だてによって,児童のものの見方や感じ方を豊かにし,鑑賞・表現に関する知識・理解を深めるとともに,基礎的・基本的な内容の定着と表現技能の向上を図った。

1 「学習の手引」
 「学習の手引」は,本題材で定着を図る基礎的・基本的な内容を授業の展開の流れに沿って構成した。これは,本題材で学習する内容として,「授業の目標」,「鑑賞の観点」,「絵を描く視点」.「絵を描く要素」,「主題の表出」等について分かりやすく解説したものである。
 これらを活用させることによって,児童に各段階の目標を理解させ,鑑賞・表現に関する基礎的・基本的な内容の定着を図った。

学習の手引
物語を聞く時意識すること
みんなは,物語を読むのが好きなようです。作ったこともあります。今度は物語を聞いて.それを絵に表すのですから,次のことを意識して聞きましょう。
1.物語の各場面と状況 :たくさんの情景が出てきます。時代.季節.時間 まわりにあるものや風景などを想像します。
2.登場するものの気持ち

 

:登場するもの,あるいは登場する人は.どんな気持ちなんだろうか,を想像します。
3.物語の作者の気持ち :作者はどんな気持ちで物語を書き,なにをいいたかったのだろうか。これは物語の主題ともいえるものです。
絵を描く要素
絵を措くときに考えなけれはならないいくつかの要素があります
l.自分の表現意図 :絵を措くきかっけとして,描こうとする気持ちが必要です。それは.あることから得た感動なのです。その感動をどのように絵に表すかの自分の意図であり.その表現が絵の主題となります。
2.描くものとその周囲 :絵は1枚の画面です。まん中も.まわりも,すみの方もすべてが絵の一部なのです。そのため.画用紙など.大きさを有効に生かして全体を構成します。絵の中心となるものと.それを生かすためにまわりもしっかりと描かなければなりません。バック(背景)などは.色あいの調子だけで空間を感じさせる場合もあります。
3.描く視点と構図 :視点の意味には,ふたつがあります。ひとつは、着眼点です。描くための目の付けどころです。もうひとつは.目の高さや位置です。アリになった感じの低い目の位置,人間の目の高さ,鳥になった感じの高い目の位置などが考えられます。それによって.構図も変わります。
 (アリの目)  (人間の目)  (鳥の目)
     (アリの目)    (人間の目)    (鳥の目)
4.「もの」の形と大きさ :「もの」の大きい小さいは.くらべるものがあって感じが変わります。意識して大きい感じにしたり.形を変形させたりもできます。そこが絵のおもしろいところで.表したいことを強く表そうとするときなどに活用できます。
   (どちらが大きく見えるかな)と(直線でも丸いものが表せる)
(どちらが大きく見えるかな) (直線でも丸いものが表せる)
5.色あいとその講和 :ことばでは.わかりにくいですが.色は一色だけでもそれぞれの感じがあります。二色以上が組み合わされるといろいろな効果が出てきます。
自分の表現したい感じをよく出すために.色を調和させたり,対比させたりして工夫します。
描く紙と性質
今回使う紙は,1学期にやった「表現遊び」のときと同じものを準備してあります。何種頼か一緒に使うこともできます。
1.画用紙 :みんながよく使う紙です。水彩絵の具にむいていて,にじみやぼかしができます。
2.ケント紙 :じょうぶでつるつるした紙です。にじみやぼかしの表現には,あまりむいていません。水彩をぬっておいて.その上にクレヨンなどで色をかぶせたあとに.かたいものでひっかいて下の色を浮き上がらせることもできます。これは,面用紙でもできます。
3.和 紙 :準備してある和紙は小さいので,それだけで絵にするわけにはいきません。それに描いたり,染めたりしたものを切りぬいて,別の紙にはって色をつけることができます。
4.色画用紙(黒) :切り絵にするときに使います。切りぬくわけですから.できたら台紙にはらなければなりません。台紙はケント紙にしてください。切り絵の白黒の表現だけでなく.白


2 鑑賞教材
 右の写真は,美術関係の本から接写したものである。これらの写真をA3判の台紙に張り付け 題名,用いられた材料や技法等を明記したものを各班に配付した。この活用によって,遠近や明暗,主調色,主題の表出等の理解を深めることができるものと考えた。これによって,鑑賞から表現への移行をねらうとともに技能の転移を図った。

 鑑賞教材[部分](6枚の内の2枚)

「きつねのお願い」(部分)
「きつねのお願い」(部分)画用紙・水彩

「銀河鉄道の夜」
「銀河鉄道の夜」 画用紙・水彩・わりばし

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