研究紀要第87号 「基礎・基本の定義と個性の伸長に関する研究 第5年次」 -051/109page
国語科においては,第1次実践で,グループご とに主題についての話し合いをさせた後で,まと まったこと,考えの食い違いのあるところを明ら かにしながら全体の話し合いをさせた。グループ の考えと個人の考えを相互に発表させ,再びグルー プにもどして話し合わせそこで,お互いの「よさ」 を発見させるような活動を設定した。「主題に対 する見方や考え方のよかったところ」,「グルー プ内での学習の様子でよかったところ」という観 点でカードに記入させた。児童の自己評価,児童 どうしの相互評価は,友達の「よさ」を発見させ る中で主題に迫るまでの学習内容と学習の仕方を 振り返えさせる意図があった。更に学習に対する 意欲や態度,方法についての「よさ」を気づかせ るというねらいを持ったものでもあった。
図画工作科においては,指導の各段階に,「発 展カード」を用いて児童どうしの相互評価,自己 評価,教師の評価の活動を組み込んだ。「ホップ カード1(丸囲み)」は鑑賞,発想・構想の段階で,「ホッ プカード2(丸囲み)」は下絵の段階,「ステップカード」 「ジャンプカード1(丸囲み)」は彩色の段階,「ジャンプ カード2(丸囲み)」は仕上げ,鑑賞の各段階でそれぞれ活 用した。カードに観点を定めて記入させたが,そ の一つは,基礎的・基本的な内容の定着にかかわ ることであり,もう一つは,児童一人一人の「よ さ」を発見し,生かし,意識化させることにかか わることであった。
これらのカードには,児童の学習過程の様子と結果が記録されていった。友達や先生が書いた内容を読んで,児童は作品にかかわる「よさ」を製作活動に生かすことができた。また,学習態度や行動面における自分自身の「よさ」の意識化にもつながった。